おさかな図鑑

春 3月〜5月 夏 6月〜8月 秋 9月〜11月 冬 12月〜2月

春

鯏(あさり)

鯏(あさり)

・あさりは産卵前の春先と秋が旬となります。

・魚へんに「利」と書いてあさりと読みますが、「利」には土(砂)を掘り起こすという意味があるのでこの字があてられたようです。

・貝殻の様々な模様は変化に富み、まったく同じものは二つとない、と言われます。

・日本中どこでも獲れますが、日本海側より太平洋側の方が多く獲れています。ただし、乱獲や環境の変化などで漁獲量が激減しており、各地で資源確保のための様々な取組みがなされています。

・味噌汁、酒蒸し、ワイン蒸しなど和・洋問わず重要な食材です。

・不足すると貧血の要因となるビタミンB12の含有量は貝の中では最も多く、良質のたんぱく質を多く含み、血中の余分なコレステロールを輩出し血液をサラサラにしてくれます。

・あさりは錆びた金物を入れて暗所に置くと良く砂をはきだします。

〇深川めし 〇あさりの佃煮

鯡(にしん)

鯡(にしん)

3月から5月にかけて北海道沿岸に大挙してくることから別名「春告魚」とも呼ばれます。

・語源は、身肉を二つに裂いて食べることから「二身」となったとの説が有力ですが、アイヌ語で「ヌーシィ」と呼ぶことから、など諸説あります。

・明治のころまでは「かど(カドイワシ)」と一般に呼んでいたので、ニシンの卵を塩漬けした「数の子」は、「かどの子」が訛ったものだとされています。秋田などではいまでも「かど」と呼ぶ人もおります。

・比較的いたみやすいため、日本や欧米でも主に燻製や干物などの保存食として食され、数の子、子持ち昆布など加工食品としても重要な魚です。特に干物は「身欠きにしん」といい、江戸時代には北前船で本州まで運ばれ、山間部の貴重な食材でもありました。

・国内産の鮮魚は塩焼きが最高に旨いですし、本当に新鮮なものは刺身もおいしいです。

・「身欠きにしん」は、米のとぎ汁で半日から1日かけてもどし、甘味のある醤油で煮て調理します。

・世界一臭い食べ物として有名なスウェーデンの『シュールストレミング』も、塩漬けにしんの缶詰(保存食)です。

〇ひろっこと豆腐などと共に塩魚汁味と合わせた鍋 〇数の子 〇卵の醤油付け 〇卵の酒粕浸け 〇土佐漬け 〇柚庵焼き 〇こぬか漬け(一年以上漬け込んだものを石川、新潟では”ヘしこ”と呼ぶ)

鯛(たい)

鯛(たい)

・タイ科にはマダイ、クロダイ、キダイ、チダイなどがありますが、鯛にあやかりたいとして和名にタイとつく魚は200種類にも及ぶとされています。

・マダイは、その姿かたちや「めでたい」に通じることなどから、室町時代にはすでに和食の世界における確固たる地位を占めるようになっていたと言われます。

・タイは5月頃に産卵するため、産卵直前の2月から3月頃が旬とされますが、日本は南北に長いのでいずれかの地域で年中おいしいタイが手に入ります。

・春に獲れる鯛は「桜鯛」、秋は「紅葉鯛」などとも呼ばれます。

・タイは、漁獲時の取り扱い方で味が決まります。獲れてから自然に死んだものと、生簀などである程度生かしておいてから活け締めしたものとでは格段の差があります。

・市場に流通するのは、天然マダイと養殖マダイがありますが、天然ものはスマートで赤い色合いもよく、背中にはコバルト色の斑紋がはっきりあります。一方、養殖ものは全体的にずんぐり型で、色も黒っぽくなります。ただし、近年は天然もののような赤っぽいものも出てくるようになりました。

・マダイの身肉には甘味のある旨味があり、それが刺身や活き造りに人気がある理由でしょう。活き締め直後より冷蔵庫で一晩熟成させたもののほうが、旨味も甘味もよくなります。

〇姿造り 〇浜焼き 〇カブト焼(頭)〇アラ蒸し 〇潮汁 〇ウロコの唐揚 〇酒むし 〇すり流し汁 〇俵蒸し